生体数理工学分野

生命現象の動作原理をマルチスケールで解明する

生体システムの様々な階層の情報をナノテクノロジやマルチモーダル計測を駆使して取得し、さらに階層間データを統合する視点で数理的な解析やモデリングを行うことにより、生命現象の動作原理の解明とその医工学的な応用を目指しています。

教員紹介

近年の生物に関する計測・解析技術の進歩に伴い、生物は私たちの想像を超える精巧さで様々な機能を実現していることが明らかになりつつあります。私たちは生体計測技術と数理解析理論(非線形動力学・統計物理学など)を融合して複雑な生命現象の動作原理を明らかにする研究、および得られた知見を診断技術・福祉機器開発などに広く応用する研究を行っています。
具体的には、生命現象に普遍的にみられる非線形性・時間遅れ・ゆらぎ・複雑ネットワークを解析的に扱うための理論研究、脳活動計測実験と数理モデルによる記憶・認知機能の解明、バーチャルリアリティを活用し脳活動から使用者意図を高速に読み取るシステム開発などを行っております。

図版
ヒトの心臓(左)・脳(右)の非侵襲計測と数理解析

生体システムは、分子―細胞―組織といった様々なスケールの構造が階層構造を作り機能を実現します。私たちはミクロのレベルから実験的に生命現象を解き明かし、数理の言葉を介してマクロな生体システムの理解につなげることを目指しています。神経活動の多点電気計測技術とマイクロ加工技術を駆使し、主に培養神経ネットワークや脳組織を対象に研究を進めています。
具体的には、神経細胞の機能・種類・構造を統合的に評価する計測技術の開発、痛みの伝達など生体の機能を模擬した実験モデルの構築、取得したマルチスケールなデータを統合するための解析手法の考案、ヒトiPS細胞を利用した神経疾患の発症機序の解明などを行っています。

図版
神経細胞に対する形態と電気信号の同時評価